関あじ

 

東京の築地市場改め豊洲市場

 

四季折々、日本中から美味しい魚が集まるこの市場。
旬を迎えた時期でも滅多に並ばない幻の大人気の魚とは?

 

それが大分県佐賀関(さがのせき)産のあじ
その名も「関あじ

 

その「関あじ」についてマメ知識をご紹介します!

 

 

「関あじ」の基本情報を知りましょう!

 

瀬戸内海と太平洋の海流がぶつかり合う豊後水道と呼ばれる佐賀関沖はエサが豊富で潮の流れが速い漁場です。
そのためこの海で育つ関あじは、肉厚で引き締まった身が特徴だそうです。

 

他の海で取れるあじに比べて、値段が2倍以上するにもかかわらず、圧倒的な人気を誇るまさにあじの王様なのです。

一般的なアジ 約1800円/キロ
関あじ    約3800円/キロ

旬の時期(シーズン)は10月から3月です。

 

大分県漁業組合の佐賀関支店の組合員の漁師が釣ったマアジが「関あじ」になります。
「関あじ」は地域団体商標として登録してあります。
これは、地域ブランドを適切に保護するために行っています。

 

そんな関あじにの捕獲方法が納得!の豆知識。

 

関あじというのは一本釣りなのですが、釣るときに撒き餌は使わないのだそうです。
更に釣り針に疑似餌しかつけないそうです。

 

なぜそんなことをしないといけないのかといいますと、例えばエサで釣るとします。
そうすると、関あじ胃袋にエサが残ってしまいます
そうなると胃袋のエサがそのまま腐ってしまいます。
そうすると身の風味が損なわれてしまうのでエサもなしで釣るのだそうです。

 

だからこそ、関あじはまったく臭みのない美味しい魚なのだそうです。

 

更に、「活け締め」(いけじめ)という処理を行う事によって活きの良さを保っているそうです。

活け締め」(いけじめ)とは
実は江戸時代の初期に日本で開発された伝統的な技術です。
今では世界的に活け締めの方法は広まっており、スポーツフィッシングでも取り入れられているそうです。
日本発祥なので、海外では"ikejime"と呼ばれているそうです。

 

魚によって処理方法は異なりますが、基本的な手順として魚を気絶させた後、神経を抜き血抜きを行います。
これによって、魚の身の劣化や腐敗を抑制する事が出来るそうです。

関あじの場合は、神経抜きをした後包丁で脊髄を切断し、血抜きを施して潮水で冷やすそうです。これらは一匹一匹と熟練の職人が丁寧に手作業で行われます。

 

関あじの引き締まった身を楽しむならやっぱり刺身が一番!

アンジャッシュ渡部さんおすすめの料理が、余った刺身を醤油とみりんベースのたれに付け込んで熱々のご飯の上へ!大分ではお馴染みの郷土料理「あつめし」はお酒とも相性抜群の一品なのだそうです。

 

  

 

「釣った魚に餌あげないね」って責められることあるじゃないですか?
そんなのまだマシなんですよね。
関あじなんかは、釣られる時から餌もらっていないのですから!

 

関あじの取引方法は他の魚と違う独特な方法!

 

魚の取引で一般的なのが、競り
摂れたばかりの魚を市場に運んで仲買人が競り(値段交渉)をします。
ここから飲食店やスーパーに運ばれます。

 

一般的な魚 漁師市場仲買人飲食店やスーパーなど

 

しかし、人気ブランドの関あじには、競りが存在しない!?そうです。

 

競りがなのにどのように流通しているのでしょうか?

 

そこには、人が手を触れることなく売買が成立する「面買い」(つらがい)というシステムがあるそうです。

 

関あじは漁を終えて帰ってきた漁船の上でで取引されるそうです。

 

船に乗り込んだ漁業協同組合の人が魚の値段を決めるそうです。
はたしてどのような取引が行われるのでしょうか?

 

釣ったばかりの関あじを漁業組合の人が網ですくうと船からいけすの中へ放り投げます
次々といけすに関あじを投げ入れて行っていますが、この間にもう値段の取引が終わっているそうです。
網ですくい上げた一瞬であじの重さを見極めて値段をつけて漁師さんから買い取っているようです。

 

あじの「」つまり「姿」を見て買うということで、この取引を「面買い」というそうです。

 

これは、大分県佐賀関だけで行われている取引方法だそうです。

 

あじは100gごとに値段が違うので漁業の人がその場で計算していってるということですね。

 

その一瞬で重さを見極める漁業の人の力がスゴイのです!
関あじの重さは200gから1kgを超えるものまで様々。
それを一瞬で見極めて更に正確な重さを当てることができるそうです。

 

しかし、

値段が重さで決まるというのならなぜ秤(はかり)を使わないのでしょうか?

 

秤で量ろうとするとアジが暴れたり、人間の手に触れたりして身が痛んで味が悪くなるからだそうです。

 

面買いのメリットは空気に触れたり、暴れたりすると傷みやすいアジの身の劣化を最小限にできるからだそうです。

 

全国屈指の人気ブランド関あじのおいしさは、こうした徹底した鮮度管理に守られているからこそなのですね。

 

これを知ってしまうと、

一般的なアジ 約1800円/キロ
関あじ    約3800円/キロ

 

この値段にも納得できるし本当においしいのだろうと容易に想像できますね。
いやいや、むしろ安いぐらいではないでしょうか?う~ん。食べたくなってきた。笑

 

関あじ認定シール←関あじには認定シールがあるので安心♪

 

「関あじ・関さばまつり」

毎年3月に「関あじ・関さばまつり」というものが、大分県の佐賀関で開催されているそうです。
限定数百食ですが、関あじや関さばが味わえたり、現地の名産品の販売や様々なイベントが開催されるそうです。
関あじ・関さばを味わってみませんか?
←検索窓に「関あじ・関さば」を入力して検索!

 

 

まとめ

関あじについての豆知識いかがでしたか?

 

関あじには市場での競りが存在しない理由は、「面買い」というシステムがあるからです。
それは、関あじの高い品質高い価値を維持するために必要なシステムなのです。

 

特定の商品をブランド化するには、他とは比べられない高い品質高い価値、それにブランドとしての高い信頼感が必要となるのですね。

 

関あじだけでなく、日本全国には地域特有のブランド化された商品があります。
この地域ブランドを守るために、地域団体商標制度というものがあります。

地域団体商標制度とは
地域の産品等について、事業者の信用の維持を図り、「地域ブランド」の保護による地域経済の活性化を目的として2006年4月1日に導入されました。
「地域ブランド」として用いられることが多い地域の名称及び商品(サービス)の名称等からなる文字商標について、登録要件を緩和する制度です。
特許庁 地域団体商標制度より

さらに、商標の構成として
地域の名称」 + 「商品(サービス)名」 の組み合わせが原則なのです。

 

例として、

  • 大分県佐賀関の「関」 + 「あじ」 = 「関あじ」
  • 和歌山県松阪市の「松阪」 + 「牛」 = 「松阪牛」
  • 兵庫県神戸市の「神戸」 + 「牛」 = 「神戸牛」
  • 秋田県比内地方の「比内」 + 「地鶏」 = 「比内地鶏」
  • 徳島県鳴門市の「なると」 + 「金時」 = 「なると金時」
  • 青森県下北半島大間沖の「大間」 + 「まぐろ」 = 「大間まぐろ」
  • 大分県中津地方の「中津」 + 「からあげ」 = 「中津からあげ」
  • 京都府宇治市の「宇治」 + 「茶」 = 「宇治茶」
  • 沖縄県の泡盛は「琉球」 + 「泡盛」 = 「琉球泡盛」
  • 愛媛県今治市の「今治」 + 「タオル」 = 「今治タオル」
  • 福岡県博多市の「博多」 + 「人形」 = 「博多人形」
  • 岐阜県下呂市の「下呂」 + 「温泉」 = 「下呂温泉」

などがあります。(登録件数は全部で645件)
皆さんが一度でも聞いた事ある知名度の高い地域ブランドの一部をピックアップしました。

 

見て分かるように、地域名称+商品名になっています。

 

しかし、必ずしもその地域だけで生産しているわけでもなく地域ブランドの商品それぞれに”指定商品又は指定役務”という項目があり、上で紹介した宇治茶では
「京都府・奈良県・滋賀県・三重県の4府県産茶を京都府内業者が京都府内において宇治地域に由来する製法により仕上加工した緑茶」と記載があります。

 

また、別の商品で「くまもと茶」があります。
この「くまもと茶」の”指定商品又は指定役務”の項目には「熊本県産の緑茶」とだけ記載されています。

 

原材料や製法など特にクリアすべき制約がないことが分かります。
だからと言って、何でもかんでも登録できるわけではないようです。

 

登録するためのポイントがいくつかあるのですが、その中で特に重要!とされているのが、
一定の地理的範囲で、ある程度有名であること です。
これは、一定の地域で需要者(最終消費者や取引事業者)に知られている事が客観的事実(販売数量や新聞報道など)によって証明出来る事が必要となります。

 

新しく開発したサービスや商品を知名度を上げるためにいきなり登録できませんよ!って事ですね。
地域に根付いた商品やサービス地域ブランドとして日本全国やさらに世界に知らせるためやその地域ブランドを守るための地域団体商標制度という事になりますね。

 

地域団体商標ガイドブックというものが毎年出ているのですが、実際に見てみると結構面白いです。興味ある方は電子ブック版もあるので見てみて下さい。
地域団体商標ガイドブック2019

 

見ない方にもう少し面白いと思った情報を。

 

各都道府県の登録状況の件数があるのですが、全登録件数645件中一番登録件数が多いのが、京都の63件さすが古都京都ですね。伝統的な特産品が多くあります。
続いて多いのが兵庫県の37件肉が多い。石川県の32件北海道の31件と続きます。

 

一番やる気がないのが(笑)茨城県の4件あるでしょ他にも!
山梨県、香川県、高知県が5件
岩手県、宮城県、鳥取県、岡山県、徳島県が6件

 

あれあれあれ??
2006年にスタートして全登録件数がまだ645件。少ない!?
地域団体商標ガイドブックを見ていても、
あれがあるのにあれがない!」みたいなのが多かったですね。

 

地域団体商標件数が少ないこの状況は何なのか?と調べてみました。

ウェブサイトなどでは、この件に関して言及しているページがほぼ見つかりませんでした。
ただ、何件か地域団体商標に関する論文がありましたので、理解できた範囲で個人的に分析した結果をお知らせしたいと思います。

 

問題1
申請されたにもかかわらず、審査に通らず認定されなかったのが約45%にも上る。
これに関しては、申請する側の準備不足などが大きな要因となっているようです。
地域ブランドとして認知されれば、様々な販路拡大につながりますので、安易に登録申請を行っているがそれに対して特許庁側の審査がしっかりしているようです。
(認定されれば国のお墨付きとなり、法的効果差別化効果など大きなメリットがあるため審査がある一定以上厳しいのだと想像できます)

 

問題2
地域団体商標の出願は誰でも出来るものではない
「法人格を有する事業協同組合とその他・・・略」つまり、←以外の会社、個人、地方公共団体、商工会、各種協議会等には出願資格がない。という事。頭痛い笑

 

もう少しかみ砕くと、

  • 企業が自分の商品を登録できない。
  • 個人が自分の商品を登録できない。
  • 都道府県が自分の地域の商品を登録できない。
  • 市区町村が自分の地域の商品を登録できない。

という事になります。

 

では、どんな団体が地域団体商標の登録しているかと言いますと、農業協同組合食肉事業協同組合連合会漁業協同組合菓子工業組合酒造組合温泉旅館協同組合などです。

 

更に、事業協同組合内でも情報やルールの統一化が難しいようです。
地域の特産品を生業にしている事業者はたくさんいます。
その企業個人生産者販売者やそれをまとめる組合や協会が1つになり同じ方向を向かないといけないという事ですね。

 

以上の事が理由でスタートから13年も経過しているのにも関わらず、登録件数が645件(2019年時点)なのですね。

 

まぁ、登録件数が少ないと感じているのはあくまでも私の個人的な感想であり意見であります。しかし、地域団体商標に登録されている商品やサービスの一覧を見れば恐らく同じ感想を持って頂けるかと思います。
あれ?あれはないの?
あれがなるならあれもあってもいいのでは?と思うよ。
全商品一覧表を作成して貼ろうと思いましたが、多すぎたので止めました。
気になる方はこちら→地域団体商標ガイドブック2019

 

ちなみに、地域団体商標に登録されている商品はふるさと納税の返礼品になっているものが多いので気になるものを返礼品でゲット!してみてはいかがでしょうか?

 

 

★★★★

 

参考:林先生が驚く初耳学!